会場内は次のヒット作や新しい取引の種を探す業界関係者の熱気に包まれていましたが、その中で特に印象的だったのが、IPを保有するライセンサー側の変化です。
すでに強固なファン基盤を持つ有名なメガIPのブースが安定した存在感を放つ一方で、活路を模索していたのは「これから日本での認知を広げたい新規・新興IP」や、「親会社や上層部から、自社が持つアセットの有効活用を任されている関連企業・老舗ブランド」の担当者様たちでした。
「誰もが知るこの知名度を使って、今風の新しいグッズ展開を仕掛けたい」「実績がまだない中で、どうやって最初のライセンシー(版権を借りて商品化してくれる企業)を開拓するか」──。そんな切実かつ前向きな課題を抱える現場で今、従来の丁寧な企画書に加える“もう一つの強力な武器”の必要性が浮き彫りになっています。
そもそもライセンスビジネスにおける「アセット」とは、企業や地域、メディアなどが長年培ってきた、知的財産としての「価値ある資産」のことを指します。具体的には、自社のキャラクターやロゴマーク、象徴的なデザイン(図柄)、あるいは歴史的な背景や知名度そのものも大切な資産です。
コンテンツ東京のブースで飛び交っていたリアルな声を集約すると、ライセンサーとライセンシーのマッチングを阻むブレーキは、IPの性質ごとに以下の3つに分類される傾向が見られます。
アニメ化の予定や過去販売データがないため、ライセンシーに「本当に売れるのか」「在庫リスクを抱える価値があるか」と二の足を踏まれやすい傾向があります。平面のイラスト資料だけではグッズとしての完成度が伝わりにくく、商談が長引いてしまう現状があります。
誰もが知る地域のランドマークや老舗企業のキャラクター、あるいは伝統ある観光地など、「高い知名度」がありながらも、これまではお土産や会社案内が中心だったケースです。伝統のデザインを、今風のアクリルスタンドやアクリルキーホルダーへどう落とし込めば今の若者層に響くのか、ライセンシー側で商品化のアレンジの加減が掴みにくいという課題に直面しています。
人気実用書の装丁や、ブランドのテキスタイル(柄)など、「キャラクターを持たないデザインそのもののIP化」を狙うケースです。言葉や企画書だけでは、ライセンシーに商品化のイメージが伝わりにくく、「ファンが本当に喜んで買ってくれるのか」という疑問を解消しにくい場合があります。
こうした新しいファン向けの提案を、実際のグッズ(試作品)を大量に作ることなく、画面上で視覚的に行えるのが、IPを使ったアイテムシミュレーター「i-DESIGNER」です。
商談の場でライセンサーの持つIPデータをシミュレーターに取り込めば、その場で立体的な完成見本が生成され、「ファンがどのようにカスタムして楽しむのか」という未来図をライセンシーへ直感的に伝えることができます。現在、WEB上で実際に無料で試せるシミュレーターもあり、こうしたデジタル技術の活用が、これからのライセンスビジネスの溝を埋める強力な選択肢となりつつあります。
テクノアは、推し活の角度からもこうしたライセンサービジネスの動向に注目しており、双方がよりスムーズに新しい一歩を踏み出せるような仕組みを提案しています。
今後もこのコラムを通じて、知的財産ビジネスや販売促進に役立つ情報や、課題解決のヒントとなるような提案を発信してまいりますので、引き続きご覧いただけますと幸いです。